はじめに
50歳から副業として赤外線カメラを用いた外壁診断を始めようと考えている方にとって、「できるだけ手軽に、しかししっかりと診断できる機材」を選ぶことはとても大切です。そこで注目されているのが、スマートフォンに接続して手軽に使える赤外線カメラ「FLIR ONE(フリアワン)」です。
FLIR ONEは、世界的に有名なサーモグラフィーメーカーであるFLIR Systemsが開発した、スマホ対応の赤外線カメラです。この一台で、建物の外壁や屋根、配管などの温度分布を簡単に可視化することができ、副業としての外壁診断に非常に適しています。
本稿では、FLIR ONEの特徴、導入方法、使用方法、外壁診断での活用法、さらには注意点やコスト面も含め、論理的かつ分かりやすく5000字程度で解説します。
1. FLIR ONEとは?
1-1. FLIR ONEの概要
FLIR ONEは、スマートフォンのUSBポート(iPhone用Lightning、Android用USB-C)に接続して使用する赤外線カメラです。赤外線センサーと可視光カメラを備え、温度の違いを色で表現する熱画像を表示・撮影することができます。
1-2. 主な機能と特徴
- MSX機能(特許技術):赤外線画像と可視画像を重ねることで、輪郭がはっきり見える
- 温度測定:ポイント、範囲指定、最高・最低温度表示など
- 画像・動画記録:スマホに保存可能
- アプリ連携:専用アプリ「FLIR ONE」で解析やレポート作成ができる
- 軽量・コンパクト:持ち運びが容易
2. FLIR ONEの種類と選び方
FLIR ONEにはいくつかのバリエーションがあります。用途や予算に応じて最適なモデルを選びましょう。
2-1. モデルの比較
モデル名 | 赤外線解像度 | 可視カメラ | MSX対応 | 価格帯(日本) |
---|---|---|---|---|
FLIR ONE Gen3 | 80×60 | 640×480 | ○ | 約50,000円 |
FLIR ONE Pro | 160×120 | 1440×1080 | ○ | 約75,000円 |
FLIR ONE Pro LT | 80×60 | 1440×1080 | ○ | 約65,000円 |
FLIR ONE Edge Pro | 160×120 | Wi-Fi接続 | ○ | 約95,000円 |
2-2. おすすめモデル
外壁診断であれば、FLIR ONE Pro(160×120) または Edge Pro がおすすめです。より高解像度な熱画像が得られるため、ひび割れの影、雨水侵入、断熱材の欠損などの微細な温度差を捉えやすくなります。
3. FLIR ONEの導入方法
3-1. 購入方法
- 国内正規販売店:安全だがやや高め
- Amazon/楽天:並行輸入品は安価なことも
- FLIR公式サイト(海外):為替によってはお得だが、保証範囲に注意
3-2. スマホとの互換性
- Android:USB-Cポートが必要
- iPhone:Lightningポート(またはEdge ProならWi-Fi対応)
- iPad使用可(モデルによる)
3-3. アプリのインストール
- 「FLIR ONE」アプリ(iOS/Android対応)をダウンロード
- 初回接続時にファームウェア更新が必要な場合あり
4. FLIR ONEの基本的な使い方
4-1. 起動と接続
- FLIR ONEをスマホに接続(またはWi-Fi接続)
- アプリを起動すると自動でカメラが起動
4-2. 撮影と温度表示
- 画面上で温度を表示したい場所をタップ
- 中心の温度、最大・最小温度をリアルタイムで表示可能
4-3. 診断画像の保存と共有
- 撮影した画像・動画はスマホ内に保存
- PDFレポート出力や、クラウド保存も対応
5. 外壁診断でのFLIR ONEの活用方法
5-1. 外壁のひび割れ・雨漏り診断
- ひびから水が入り込んだ場合、周囲との温度差が生じる
- 日没後や雨天後などが撮影に適している
5-2. 断熱材の欠損・偏り確認
- 外気温と室温の差がある日中に外壁を撮影すると、断熱不足部分が明瞭に
5-3. 配管の漏水や結露の検出
- 給排水管の通っている壁面での温度分布の異常を確認
6. FLIR ONEを使う際の注意点
6-1. 環境条件に注意
- 風・日射・雨の影響を受けやすい(遮熱シートや曇天時の使用が推奨)
- 朝晩など温度差のある時間帯が最適
6-2. スマホの発熱・バッテリー
- 長時間使用でスマホが発熱しやすい
- 外部バッテリーの併用がおすすめ
6-3. 解像度・感度の限界
- プロ用機種に比べて解像度や感度が低い(判断に自信がない場合は再確認が必要)
7. コストパフォーマンスと副業活用の可能性
FLIR ONEは、価格と性能のバランスがよく、個人事業レベルの副業としては十分な性能を備えています。
7-1. 初期費用
- FLIR ONE Pro:約7〜10万円
- スマホ連携で専用ディスプレイ不要
- 専用アプリ無料、レポート出力可能
7-2. 収益化のイメージ
- 外壁診断1件あたり:1〜3万円(地域・案件による)
- 月5件程度でも、月収5〜15万円の可能性
- 初期費用は数ヶ月で回収可能
まとめ
FLIR ONEは、50歳からの副業として赤外線外壁診断を始める方にとって、低コスト・高機能・高携帯性の三拍子がそろった最適な選択肢です。
- スマホに取り付けて使える手軽さ
- 外壁診断に必要な機能をしっかり備えている
- 初期投資を抑えつつ収益化が可能
ただし、環境条件や精度の面ではプロ用機と比較して限界もあるため、現場経験を積みながら、必要に応じてステップアップしていくのが理想的です。
まずはFLIR ONEを使って、赤外線診断の世界に触れてみましょう。副業の第一歩として、これほど手頃で実践的なツールは他にありません。
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