はじめに
副業として建物診断に取り組もうとする50歳男性にとって、外壁の赤外線調査は専門性と需要のバランスが取れた分野です。外壁は風雨や紫外線に常にさらされており、ひび割れや内部劣化、雨漏りなどの問題が発生しやすい箇所です。しかし、表面的な劣化は目視でも確認できますが、内部の異常を非破壊で検出するには赤外線カメラが有効です。
本稿では、戸建て住宅の外壁調査における赤外線技術の基本から、実践的な調査方法、機材選定、注意点、診断結果の分析と報告の手法までを体系的に解説します。
1. 外壁赤外線調査の基礎知識
1-1. 外壁調査の目的
- 雨漏りの発生源の特定
- 断熱不良や熱橋(ヒートブリッジ)の確認
- 外壁材の浮きや剥離の検出
- モルタルやタイルの内部劣化の可視化
1-2. 赤外線調査の原理
赤外線カメラは、物体が放射する赤外線(熱)を捉え、温度分布を可視化する装置です。外壁の異常部位は、熱の伝わり方が正常とは異なるため、温度差となって画像に表れます。特に日照の影響を受けた後の冷却過程で異常が浮き彫りになります。
2. 使用する赤外線カメラと機材
2-1. カメラ選定のポイント
- 解像度:最低でも160×120以上、推奨は320×240以上
- 熱感度(NETD):0.05℃以下が望ましい
- 可視カメラとの合成機能(MSXやピクチャ・イン・ピクチャ)
2-2. 推奨機材
- FLIR E6/E8シリーズ:コストと性能のバランスが良く、外壁診断に適している
- FLIR ONE Pro:入門用としてスマートフォンに装着できるタイプ
- 赤外線ドローン(DJI Mavic 3Tなど):高所からの調査が可能
2-3. 補助機材
- 三脚または伸縮ポール:高い位置の外壁を安定して撮影
- 日照の記録用に光学カメラも併用
3. 調査の適切なタイミングと条件
3-1. 調査に適した時間帯
- 夕方から夜(17時〜20時):日中に太陽光を浴びた外壁が冷却される過程で、異常部位との温度差が明瞭に現れる
3-2. 天候条件
- 晴天が2〜3日続いた日の夕方が理想
- 雨天後すぐや風が強い日は避ける(温度分布が不安定になる)
3-3. 調査前の確認事項
- 外壁の材質(モルタル、サイディング、タイルなど)
- 劣化の既往歴、補修履歴
- 内部からの熱源の有無(エアコン、給湯器)
4. 実際の調査手順
4-1. 撮影前の準備
- 赤外線カメラのバッテリー、メモリカード確認
- 外壁の方角(日照の当たり方)を記録
- 外気温、湿度、風速などもメモ
4-2. 撮影方法
- 水平方向に沿って一定の距離を保って撮影
- 温度のムラがある箇所は複数角度から撮影
- ズーム機能やスポット測定で詳細な温度確認
4-3. 撮影モードの使い分け
- アイアン、レインボー、ホワイトホットなどカラーパレットを切り替え
- 温度スケールは固定にして比較しやすく
- 可視画像との比較ができるように両方を保存
5. 診断と分析の進め方
5-1. 温度異常の特徴
- 温度が高くなる箇所:熱橋、浮き、内部結露など
- 温度が低くなる箇所:雨水の浸入、水分の蒸発など
- 模様のようなパターン:下地の構造、筋交いの影響など
5-2. 他の要因との照合
- 誤検出を防ぐために、可視光画像、過去の修繕履歴、使用材料などと照合する
- 断熱材の有無、屋内の温度差も考慮
5-3. 温度差の目安
- 通常部と異常部の温度差が0.5℃〜2.0℃以上ある場合に異常と判断
6. 報告書の作成と説明方法
6-1. 報告書の基本構成
- 調査目的と範囲
- 調査実施日、天候、使用機器の情報
- 赤外線画像(可視画像との比較)
- 異常の考察と対応案
6-2. 顧客への伝え方
- 難しい用語は避けて「温度差が出ている=水分がある可能性」といったシンプルな説明を心がける
- 写真を並べて視覚的に納得感を持たせる
- 改修の必要性がある箇所については、推奨工法も提示
7. 副業として活用するためのヒント
7-1. サービス内容のモデル
- 外壁劣化診断パック(調査+レポート):2〜3万円程度
- 雨漏りトラブル対応:1万円〜2万円
- 賃貸住宅や空き家の定期診断:月額契約モデル
7-2. 集客方法
- 地元工務店やリフォーム会社と提携
- ホームページやSNSで実例を公開
- 「外壁診断×赤外線」という独自性で差別化
7-3. 必要なスキルと資格
- 赤外線建物診断技能士などの資格取得で信頼度アップ
- 報告書作成やコミュニケーション能力も重要
まとめ
戸建て住宅の外壁赤外線調査は、非破壊・非接触で状態を把握できる優れた手法です。正しい知識と機材、適切な撮影方法を身に付けることで、信頼性の高い診断が可能になります。副業としても始めやすく、専門性を持ったサービスとして安定した需要が見込めます。
ぜひ本稿の内容を参考に、安全かつ効果的に外壁赤外線調査を実施し、顧客の信頼を得られるプロフェッショナルを目指してください。
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